京都の丹波ワインのローストビーフが問題になっています。結着剤を入れた肉を使ったローストビーフです。
問題点は二つ。丹波ワインでは、ローストビーフに結着剤を使ってたということと、回収した賞味期限切れのローストビーフを廃棄せずに、そのままシチューやサンドウィッチなどに使っていたそうです。丹波ワインの黒井衛社長のインタビューはちょっと苦しい言い訳でしたが、肉の結着剤の成分とか、安全性を調べてみました。
丹波ワインの事件の経緯は?
丹波ワインの偽装問題の経緯は、
ワイン製造販売や飲食事業を展開する「丹波ワイン」(京都府京丹波町)が、2013年に結着剤を使ったローストビーフを販売して食品衛生法違反を指摘され、廃棄すると府南丹保健所に伝えながら、賞味期限切れの状態で14、15年の一定期間、客に提供していたことが5日、同社への取材で分かった。同社は「加熱処理をせず、牛ロースト丼としても提供した」と説明。同保健所は廃棄処分するよう文書で指導した。
~中略~
同保健所によると、丹波ワインは13年の問題発覚後、回収した製造基準違反のローストビーフ約50キロを「廃棄処分する予定」と保健所に伝えた。実際に処分したのは約1割で、残りは同様の手法で製造されたローストビーフの在庫計約220キロと冷凍保存していた。
このうち約80キロを同社の関連会社が運営するレストラン(京丹波町)で提供。15年4月には同社での2日間の催しで牛ロースト丼として、14年4月~11月には「赤ワイン煮込み」やサンドイッチとして販売していた。
同保健所によると、今年2月の調査に対し、同社は「いずれも加熱処理した」と説明したという。廃棄方針だったローストビーフは13年9月までの製造で、提供時は同社が定める賞味期限(製造後180日)を、1年以上過ぎていた恐れがある。
黒井社長は「回収した商品と在庫が混在し、廃棄するのを忘れていた。ご利用のみなさまに、大変なご心配をおかけして誠に申し訳ない」と謝罪した。(出展:京都新聞)
簡単にまとめると、
- 食品衛生法に禁止されている結着剤をローストビーフに使用
- 保健所より、回収指導される
- 回収したローストビーフを同様に製造したものとと一緒に、そのまま冷凍保存
- 保健所には、廃棄処理済みと報告
- 丹波ワイン系列のレストランで、赤ワイン煮込み、サンドウィッチ、ロースト丼として販売
- その時点で、賞味期限切れだった
黒井社長の弁明としては、
- 回収したものと、保存してあった在庫と一緒になってしまった
- ワインには賞味期限がないので、管理が甘かった
と、ニュースなどで話されています。
ですから、問題は、結着剤を使った事と、賞味期限切れの肉を出したことですね。
では、まず、結着剤とはなんでしょうか?その安全性とか、使い方を調べてみました。
結着剤とは?
結着剤とは、その名前の通り、お肉とお肉を引っ付けるものです。
言ってみれば、つなぎみたいなものですね。
結着剤というと、なにか科学的なモノで、体に悪そうなものっていうイメージがありますが、実は多くのものに使われています、
- ハム
- ソーセージ
- 魚介の練りもの
- プロセスチーズ
- コンビニのコーヒー
- 中華めん
- 成型肉
などですね。
最後の成型肉というのは、スーパーで売ってるサイコロステーキとか、安いステーキ用の肉などです。
また、安い焼肉店のお肉は、成型肉としてメニューに書かれている時がありますので、次に行ったら見てみてください。
そして、結着剤の成分は、
- ポリリン酸塩ナトリウム
- ピロリン酸ナトリウム
- メタリン酸ナトリウム
- カゼインナトリウム
などです。
字の見た目はコワそうですが、まあ、昔から食べているものの中に入っているものですし、リン酸塩自体は、体の中にいつも存在するものです。それほど怖がるものではありません。
では、まるっきり安心なのかっていうと、そうでもありません。
リン酸塩の摂りすぎは、骨粗しょう症の原因と言われいますし、成長期の子供の発育を阻害すると言われています。
カルシウムを体の外に出してしまう感じです。ですから、カルシウムを積極的にとる必要があります。
では、なぜ結着剤を使ったお肉でローストビーフを作ってはいけないのでしょうか?
結着剤を使った肉の秘密
結着剤を使うということは、別々の肉を合わせるということです。
つまり、肉を合わせた部分は空気に触れているわけですから、雑菌が付いているわけでです。
そして、そのまま保存されるとその合わせ目についた雑菌が繁殖していくんです。
ですから、結着剤を使った肉は、中までしっかり火を通して焼くことが義務付けられています。
これは、成型肉に限らず、インジェクションで成型した肉にも当てはまります。
インジェクションとは、脂身の少ない肉に、油を注射器みたいなもので注入してやわらかくしたり、脂たっぷりのコクのあるおいしいお肉に変身させるものです。
脂肪分を注入する時点で、注射器についた雑菌が中まで入ってしまうので、良く焼く必要があるのです。
丹波ワインでは、成型したお肉をそのまま生で食べるローストビーフにして、販売していたので、保健所から指導が来たんのです。
丹波ワイン以外でも、そのような事例はあるんです。
- サンドイッチの「サブウェイ」 2010~2012年ころ
- 京都吉兆 (丹波ワインの肉です)
- レストランチェーン「フォルクス(現社名どん) 2005年
- ステーキレストラン「ペッパーランチ」 2009年
- レストラン「サイゼリア」 2003年
下の3社では、健康被害が出ています。
O-157やO-111などによる食中毒で入院されている人もいます。
つまり、肉と肉を付ける時点で、食中毒菌が混ざってしまう可能性があるので、火を良く通さないといけないわけです。
幸いにも、今回の丹波ワインのレストランでは、健康被害は報告されていません。
では、次に問題なのは、賞味期限切れと言うことです。
賞味期限切れになった経緯は?
賞味期限切れになった経緯は、社長が言うには、
- 回収したものと在庫が混ざってしまった
- ワインには賞味期限がない
の二つの理由を話されています。
これが本当の理由だとしたら、ものすごい管理不足なのではないでしょうか。
社長の指示ではなかったかもしれませんが、現場の管理する人の見識不足としか言いようがないですね。
というか、知っていてレストランなどに提供していたとしたら、いままで問題になった偽装問題クラスのものではないでしょうか。
実は、上にも書きましたが、京都の吉兆で発覚した偽装では、丹波ワインの担当者が自らの命を絶っています。
そのためか判りませんが、今回あまり話題にはなっていませんが、その人の責任に押し付けるにはちょっとかわいそうな気がします。
社長が責任を取って、全てを明らかにして謝罪するのが筋のような気がします。
まとめます。
今回おきた丹波ワインの偽装問題は、大事にならずに終息すると思います。
量もそれほどありませんし、健康被害も幸いなことに出ていなかったので、謝罪だけで終わるのではないでしょうか。
ただ、丹波ワインのイメージは落ちてしまったので、会社は今後どうなるかは判りませんね。
ワインだけ残るかもしれません。
今回の事件を調べてみて分かったことは、
成型肉には、良く火を通す
ってことです。
成型肉と言っても、結着剤を使ったものやインジェクションした成型肉もありますので、気を付けてください。
特に、安い焼肉屋さんのお肉はその可能性がありますので、良く焼いて食べることをお勧めします。
また、スーパーで売られている場合、品質表示の紙をよく見ることをお勧めします。
その紙には、おそらく「加工肉」「成型肉」と表示されていますので、気を付けてください。
とくに、ローストビーフがスーパーで売られていた場合は、要注意ですね。
一番いいのは、高いお肉を食べる事だと思いますが、そうとばかりは言ってられませんので、ご自分で気を付けることが大事だと思います。
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