チリ産のサーモンが危険とか、安全性が低いという話題があります。
初めは、2016年の5月末くらいに話題になったのですが、反対意見も出たりして、ずっと論争状態です。そこで、危険と考えてる人と、安全と考えてる人の意見をまとめてみます。
チリ産サーモンの危険の理由
この問題が話題になったのは、「HUFFPOST」という世界的な情報サイトに載った菊池木乃実さんの「日本のスーパーで売られているチリ産の鮭を地元の人が食べない理由」という記事です。
この記事はすでに削除されていて読めませんが、週刊SPA!で取り上げられて、日本でも話題となりました。
チリ産のサーモンが危険と言われている理由は、2つです。
- 抗生物質の平均使用量
- 殺虫剤の使用量
このどちらもが、もう一つの世界的なサーモン生産国のノルウェーを大幅に上回っていると書かれています。
日刊スパによると、抗生物質は、
「私は養殖サーモンを食べません。抗生物質、殺虫剤、防汚剤など、“薬漬け”の実態を目の当たりにしているからです。この付近の住民には養殖場で働いている者も多く、皆それを知っています」
アイセン州北部(パタゴニア地方)は、チリの首都サンチャゴから1500km。アイセン州北部やその隣のチロエ島では、サーモンの養殖場が爆発的に拡大している。
チリのサーモン養殖に使われる抗生物質の量は、世界的に見ても特に多い。サーモン1tあたりの平均使用量を比較すると、世界1位のサーモン輸出国であるノルウェーの500倍以上で700.80g(出展:日刊スパ)
殺虫剤は、
「サーモンの細胞組織に損傷を与え、死に至らせる寄生虫『海ジラミ』の対策のため、養殖の全期間を通じて殺虫剤が定期的に投入されているんです」
こうした寄生虫対策のための殺虫剤使用量もチリが突出。サーモン1tあたりの平均使用量で27.92gとノルウェーの5倍以上に達する。(出展:日刊スパ)
どちらも、かなり多い量を投与しています。
なぜ、それほどの薬や殺虫剤が必要なのかと言うと、もともと、サーモンはチリの海にはいなかったためです。
ノルウェーや日本海に住むサーモンにとっては、未知の海で、ウイルスとか、海ジラミなどに対して、耐性が低いわけです。2016年頃には、ほぼ全滅するなどの被害が出ました。
そうならないために、たくさんの抗生物質と殺虫剤をいれたチリの海の中で養殖していると、週刊SPA!で説明されています。
「HUFFPOST」に投稿した菊池木乃実さんが「地元の人が食べない」と言ってるのは、残留物質が人間にとって危険かもしれないといことも多少はありますが、もっと大きなことがあります。
それは、サーモンを養殖することによって、周りの環境を破壊してる事です。大量の抗生物質、殺虫剤は、サーモンに使われた後は、海の中に垂れ流します。
すると、そこにいる他の生物たちももちろん駆逐してしまうんです。
菊池木乃実さんが住んでいる土地では、漁業がメインの仕事なんですが、魚や、貝、カニなどが獲れなくなって、廃業してしまう人が多いということです。
さらに、ノルウェーに比べて餌の過剰投与や過剰養殖密度なども深刻な問題を引き起こしています。
数年前には、このサーモンの養殖環境ために赤潮が発生して、大量の魚が海岸に打ち上げられました。漁に出ても魚がいないんじゃ何もできないわけです。
自分たちの仕事が無くなってしまう原因が、サーモンの養殖なんです。
ですから、そんな憎い商売敵のサーモンは食べるわけがないと言ってるわけです。
ただ、サーモン自体が昔からいないので、サーモンを食べる文化がないということも理由の一つだとも言っています。
チリ産サーモン危険の反対意見
「HUFFPOST」の「日本のスーパーで売られているチリ産の鮭を地元の人が食べない理由」の記事に対する反論もありました。
いくつかの記事があり、その反論をまとめると、
- チリではサーモンは大人気の魚
- 養殖魚は皆同じエサ
- 殺虫剤は垂れ流さない
- 抗生物質は手のひらサイズの時だけ
- 政府が考えている密度なので大丈夫
です。
この記事を書いた人は、ジョージ・ホルヘという水産商社マンです。
このジョージさんが言ってることを要約すると、「養殖されているもので、ゼロリスクのものはない」です。
豚でも、牛でも、鶏でもいろんな抗生物質を使っています。その上で、国や、世界の機関が決めた基準をクリアしているものを、多くの人は食べているんだから、養殖サーモンも同じです、と、言ってます。
ただ、このジョージ・ホルヘさんという人は、外国人のプロフィール写真と名前を使ってますが、おそらく、日本の商社マンだと言われています。
理由は、ホルヘは英語のジョージのスペイン語読みなのです。「ジョージ・ホルヘ」を英語で読むと「ジョージ・ジョージ」になりますから偽名だといわれてるわけです。
つまり、「HUFFPOST」のような世界的な権威のある情報サイトで、チリのサーモンを否定されたら仕事ができなくなってしまうので、偽名とニセの写真を使って反論したわけです。
ジョージ・ホルヘさんに対する反論
このジョージさんの反論に対して、菊池木乃実さんも「追記」という記事で、6月16日に反論されています。⇒HUFFPOST
この中では、
- 養殖場近辺の漁民たちは、あえて食べない
- サーモンを1kg太らすために5.4kgの魚がいる理由
- 殺虫剤のメーカーバイエル社の使用方法で、海中投棄と書かれている
- 有効なワクチンがないため、抗生剤は、1~4回投与する
です。HUFFPOSTの記事の中にはすべて出典が記載されいて、確認済みです。
菊池さんの記事には、きちんとしたグラフなどが添付されていました。
要約すると、抗生物質、殺虫剤は、海中投薬なのでそのまま海の中に拡散されて行ってしまいます。その結果、生態系を崩してしまうことが問題だと書かれています。
さらには、過剰に投与された抗生物質、殺虫剤は、いずれ人間の口元まで運ばれてくるので、健康被害が懸念されます。
そもそもそうした薬漬けのチリ産サーモンを食べることを否定しているのは、菊池さんだけではなくて、アメリカです。
アメリカのスーパー、コストコなどが、健康に害があるのでは?と思って輸入を控えているということです。
「HUFFPOST」の元記事は、すでに削除されていますが、菊池木乃実さんのブログには、週刊SPA!に掲載された後の事も書かれています。
「HUFFPOST」の影響なのかわかりませんが、この騒動の最中に抗生物質の使用量の情報公開を拒否していたチリの養殖業者らが裁判に負けました。
その結果、チリの水産庁がついにデータを発表して、チリは他の国の何百倍も抗生物質を使っていることが判明しました。
まとめます。
反論してきたジョージ・ホルヘさんは、チリのサンチャゴに住んでいる日本人ではないでしょうか。
というのは、菊池さんは、サーモンを養殖している、もっと南のアイセン州に住んでいるらしいからです。
なので、この二人の対立の軸としては、生産者側と、近隣住民側の並立した日本の軸があります。
ジョージさんとしては、チリの人たちに、基幹となる事業を作っているので、変な噂は立てたくない。菊池さんとしては、近隣住民は迷惑していて、結局儲かるのは大手資本でしかないと思っているのではないでしょうか。
こういった対立は、いろんな産業、いろんな商材に見られます。
どちらがどうと言うことでもないですし、簡単に解決できる問題ではないです。
ただ、一番損をするのは食べる人です。
実際に、アメリカのコストコでは、チリ産サーモンの取扱量を、今までの90%から40%に減らしていますし、他のスーパーは取り扱わないというところも出てきました。
サーモンを日本に輸入する場合、厳しい検査があります。2005年の検査では、チリ産よりも北欧産のほうが農薬の残留成分があるという結果が出ています。
ただ、その検体は都内のスーパーで、たった30匹のサーモンです。
(引用:東京健安研)
2017年以降、イオンやその他のスーパーでも大々的に取り扱いが始まりました。
ジョージさんの「何事もゼロリスクではない」ということもわかりますし、サーモンの他にも、もっと危ない食材もあることもわかります。
日本のお役所仕事がいかにずさんなのかも、いろいろな事件やニュースで骨身にしみてわかっているはずです。
大切なのは、毎日食べる人が一番被害を受けやすいということです。
何が安全で、何が危ないのか、人が言ったことや国や政府の発表を鵜呑みにしないことです。
みずから食に対する危険性を考えて、自分自身はもとより愛する人のために食材を選んでいく必要があります。
なんと言ったって、食べ物は直接体の中に入っていくものです。
ふぐやきのこなど、すぐに命がなくなってしまうものには敏感ですが、徐々に健康を蝕まれていくようなものには、鈍感になってしまうのが人です。
こういった記事を読んでもらって、すこしでも危機管理の意識を持ってもらえたら、と思っています。
<追記>NHK国際ニュースナビでも話題に【2023年2月】
2023年2月のNHK国際ニュースナビでも、このサーモン問題が取り上げられていました。
この記事の中では、サーモン生産で世界全体の3割近くがチリが占めていて、日本の輸入サーモンの6割がチリだと紹介されています。
上で紹介したHUFFPOSTは2016年の記事だったのですが、そのときの問題がまだ何も完全に解決されていないことが、しっかりと書かれています。
- 環境汚染
- 赤潮
- サーモン脱走、野生化
- 生態系破壊
などです。
多くの問題を解決するために、チリのサーモン養殖には日本がかなり密接に関わっていることも書かれています。
現在のチリの大統領は、養殖が盛んな最南端のマガジャネス州の出身のボリッチ大統領です。
そのためボリッチ大統領は議員時代から養殖産業に批判的で、規制をかけようと現在も動いてます。
ただ、菊池木乃実さんが問題提起した抗生物質や農薬・殺虫剤などのことには、このNHKのニュースは一切触れていません。
上に挙げた問題は少し改善しつつありますが、抗生物質関連の問題はいっさい手つかずになってる可能性があります。
引き続き、チリ産サーモン問題を追っかけていきます。
安全なサーモンはコチラ
楽天市場では、美味しそうな国産サーモンが売られていました。
サーモンといえば北海道だとおもいましたが・・・・。
意外に安かったです。
無添加の安全食品はコチラ
サーモン以外にも農薬被害や、抗生剤などが使われてる食材があるのは事実です。それに対してアレルギーが出てしまうような敏感な方もいらっしゃいます。
そういったことに不安に思ってたり、実際に食べれない人のために、安全安心の無農薬野菜もネットでは売られています。
しかも、毎月届くサブスクみたいなものから、いろいろな種類のものがでています。
もちろんあなたの近所にあるような安売りスーパーの値段よりは高いですが、かなり安心して食べることができます。
気になってる方はぜひ下の画像をクリックして、お取り寄せの内容や安全性、安心の理由などを確認してみてください。
コメント
コメント一覧 (13件)
[…] What’s safe food […]
Jorgeのスペイン語読みはホルヘです。
コメントありがとうございます。
すぐ訂正します。
結構な検索上位にくるのにこのコメント数の少なさは不思議
当時サーモンについての記事を読みやたら危惧してた身なので、改めて纏められている記事が読めて良かった
コメントありがとうございます。
参考にして頂いてうれしいです。
「読みでせう。」「と言うことす。」
こういうまとめ記事ってどうしてこういう間違いが多いんでしょうね。
ありがとうございます。すぐに直します。
あげ足をとるくだらない方への
訂正をするくだらない時間を
割かなくてはならないことも要因と思います。
何かを伝えたい。何かを感じて欲しい。
何かを発信したい。何かを受けてもらえたら。
そんな人の邪魔をする方は
『悲しい』と思います。
コメントありがとうございます。
わたしもその通りだと思います。
数ヶ月前、西友でチリ産の鮭を買い食べたのだが急に舌の先
がしびれ赤くなりピリピリして痛くて食べられなくなった。
その直前には鮭の塩辛さが口に広がり辛いと感じたがその辛さが舌に浸透していくようですぐお茶を飲んだりうがいをしたりしたがその舌の異常はそれから3ヶ月ぐらい続くことになるのである……。身をもって経験した私は今できるだけ薬剤の入ってない魚を高いお金を出して買っている。本当に嫌な日本になったものだ。食の安全がますます脅かされているからだ
コメントありがとうございます。
貴重な情報をありがとうございます。
本当に、自分で気を付けていかないといけない時代になってきた感じがします。
コメント失礼します
危険性があるのなら 輸入時の検査で問題ないのでしょうか?
克己さん、コメントありがとうございます。
克己さんがおっしゃられる通りです。輸入時の検査で問題ないので、おそらく危険性はないです。というか、何か問題があって、それがスルーされてる状態の方が問題になります。なので、一般のスーパーで売られてるサーモンは危険性がないものとして食べることができます。
大切なのは、そこで本当に大丈夫なのだろうか?と疑問に思うことだと思います。
疑問に思ったことをスーパーの担当者に聞いたりすることで、すこしずつ前進していくんだと思います。
チリとかノルウェーに実際に見に行くことはできません。たとえ見て文句を言ったとしてもどうにもならないと思います。
それよりも、売り場の担当者からの意見が上に行くことで、少しずつ変わっていくのではないかと思います。
私もサーモンのお刺身はとても好きで毎週1回くらいは食べています。
すこしでも安全に美味しくいただくために、疑問をもって担当者にぶつけていくことはとても大切なことだと私は考えています。
自分一人ではなくて、次世代につないでいくためにも安全、安心を追及していきたいものです。
コメント、本当にありがとうございました